2017年10月17日にNTT東日本・NTT西日本の両社は、ISDN(INSネット)ディジタル通信モードの提供期限を2023年一杯までとする旨を発表しました。これが大きなきっかけになり、多くのお客様では旧来のEDIアプリケーションを刷新し、2023年一杯までに切り替えを完了するよう検討を始めています。JCA(日本チェーンストア協会:Japan Chain Stores Association)および全銀(一般社団法人全国銀行協会)アプリケーションをご利用中の、広範なお客様に影響が及ぶ可能性があります。
多くの企業において、いわゆるインターネットEDIへの移行が進んでいます。流通BMS協議会ホームページの「社名公開企業一覧」は、440社以上の卸売業・小売業を中心とする企業が、JCAに代わる流通BMSへの移行を完了ないし予定している旨を明らかにしています。同様に「AnserDATAPORTの取り扱い金融機関一覧」は、15の金融機関が、株式会社エヌ・ティ・ティ・データのAnserDATAPORTの採用を進めているとしています。これらは2021年5月時点において社名公開に同意している企業のみを対象としたリストであり、この他にも60~70の金融機関がAnserDATAPORTの取り扱いを開始する見込みであるとのことです。
ISDN以外にも着目するべき発表があります。IBM社は通信テクノロジーの世界的な世代交代を見据えて、パワーシステム用同期通信アダプタ・カードの営業活動終了を2018年8月7日と同年9月11日に発表し、即日発効させました。全銀でも、全銀ベーシックおよび全銀TCP/IPという旧来の通信手順のサポートを、2023年一杯までで終了する旨を2017年(平成29年)11月1日に発表しています。通信回線、サーバー用通信アダプタ、通信手順に関わる一連の発表が、どのような影響をもたらすのか、もしくはどのような環境ならば影響を受けずに済むのかについては、IBM i ブログ「2024年に訪れる通信の「崖」」に詳しいのでご参照ください。
この課題への取り組みにあたり、通信相手である取引先企業との調整は避けて通る事ができません。EDI刷新とそれに伴うアプリケーション改修を3ヶ月で終えた後に、取引先全39社との統合テスト実施のために、さらに9ヶ月を要した事例もあります。自社都合のみでプロジェクトは完遂しませんので、余裕を持ったスケジュールを設定する必要があります。2023年末の期限に間に合わせるための駆け込みプロジェクトが殺到する可能性を考慮すると、EDI刷新は少なくとも2022年末までに完了させることをお勧めします。
これまで利用していたアプリケーションを、JCAアプリケーション、ファーム・バンキング全銀アプリケーション、ファーム・バンキング以外の全銀アプリケーションの3つのパターンに分けて、移行策を検討してみます。
JCAアプリケーションは流通業界における企業間データ交換のために利用されてきました。典型的には、漢字や画像は扱えない標準化された電文を、ISDNディジタル通信網ないし固定電話網経由で、1980年に策定されたJCA手順に則って交換してきました。今後の流通BMSにおいてはJX手順を標準として採用し、XML形式の柔軟性ある文書を、より高速なインターネット経由でやり取りします。XML文書化(「XML変換機能」)とJX手順のサポートについては、IBM i 上でネオアクシス社のToolbox JXクライアントを活用いただけます。ここでIBM i とは別に通信用サーバーを構成する場合は、Toolbox JXクライアントに代えてACMSが選択肢になります。
ファーム・バンキングの新たなプラットフォームとして、2018年12月に全銀EDIシステム(ZEDI)の運用が始まりました。ZEDI利用にあたっては旧来の全銀手順に代えてJX手順が前提と定められており、IBM i 上でToolbox JXクライアントをご利用いただけます。ここで通信用サーバーを別途構成するのであれば、上記同様に、Toolbox JXクライアントに代えてACMSが選択肢になります。
ZEDIに移行するためには、旧来の全銀手順が前提としていた固定長の電文をXML文書に変換しなければなりません。先に述べたAnserDATAPORTは、旧来の電文を活かすために移行作業負荷を大きく軽減できることから、採用する金融機関はさらに増えるものと予想されます。
ファーム・バンキング以外の用途にも旧来の全銀アプリケーションは利用されておりました。データ交換に関わる制御、フォーマット、コード体系などといった仕様を踏襲しているため、容易に「全銀TCP/IP手順・広域IP網」へと移行できます。Toolbox全銀TLS+はこの新しい手順をIBM i 上でサポートするパッケージです。通信用サーバーを別途構成するのであれば、ACMSが選択肢になります。
既存の電文やサーバー上の通信環境をできる限り活かしながら、新しいインターネットEDIに対応するために、クラウド上のサービスを利用する選択肢も用意しています。クラウドEDIプラットフォームは固定長電文のXML文書への変換や、新旧の通信プロトコルを同時にサポートしています。数多くの取引先企業を抱え、各企業の都合に合わせながら順次インターネットEDIへと切り替えてゆくような場合は、自社内サーバーの構成・設定を都度変更しなければなりません。クラウドEDIプラットフォームはそのような煩わしさから解放されるという利便性ゆえに、既に多くのIBM i のお客様をサポートしています。
ベル・データではオンプレミス、クラウドのいずれのケースにおいてもお客様をご支援できるよう、ソリューションやサービス・メニューを揃えております。選択肢に迷ったらまずはご相談ください。
このニーズに対応する製品・サービス

ACMS(エーシーエムエス)
IBM iを含むマルチプラットフォーム対応。インターネット時代のEDIソリューション

クラウド EDI-Platform
最新流通 BMS に標準対応、様々な通信手段と手順を備え、EDI 業務の効率化を支援します

Toolbox JXクライアント
IBM i (AS/400)からインターネットEDIのJX通信ができるToolboxシリーズ製品

Toolbox 全銀TLS+
IBM i(AS/400)から「全銀TCP/IP手順・広域IP網」の通信ができるToolboxシリーズ製品