店舗ビジネスのDX化を推進
データを活かす、
新たなWebアプリケーションを開発
- 店舗DX
- IBM i (AS400)
- 業務改善
- B-Core API-HUB
- aXes
事例のポイント
- 店舗での手書き処理をタブレット端末による入力/照会支援に切り替え
- 顧客自身による利用明細の確認を実現
- 現場での成功体験を他店舗に拡大
お客様の課題
株式会社極東商会(以下、極東商会)は、関連会社である株式会社カパス(以下、カパス)が全国に展開する54店舗で、空調冷凍機器および周辺資材を販売しています。店舗では、部材や工具を必要とする顧客がスタッフと話をしながら品物を購入します。その際に店舗スタッフは、顧客が必要とする部材や工具の型番や数量などを伝票に手書きし、後にあらためてシステムに入力しています。カパス営業本部 戦略部 戦略課でリーダーを務める菅生竜哉氏は、このような店舗での売上処理の課題を次のように話します。「伝票を手書きしているので、記載ミスが生じるおそれがあります。また、データ化のための入力作業も必要です。さらに、在庫の状態が販売管理システムに反映されるまでに時間がかかるため、その間の在庫情報が信用できず活用につながらないといった点も問題でした」。
このような課題を抱えたままになっていた理由を、管理本部 管理部 情報システムグループでグループ長を務める吉澤大氏は次のように話します。「現金売りであったり掛け売りであったり、お客様によって商品の販売形態が異なっているうえに、カウンター越しにスタッフと交渉して購入していただくことが多いためシステム化が難しかったです。また、店舗のスタッフは、お客様への対応に加えて商品の配達なども担っています。このため、お客様への対応を終えたのちに、あらためて伝票の内容を確認し、不足している内容を補ってからデータを入力するといった作業をしていました」。
課題解決のための選択
極東商会では、販売管理のための基幹業務システムがIBM i(AS400)上で稼働しています。「伝票処理に関する課題を解決するために、お客様の目の前に基幹業務システムの端末を置くのは現実的ではありません。店舗では、お客様との距離感やスピード感が必要だからです。このため、タブレット端末のようなデバイスを使用し、キーワードを入力して結果をその場で確認できるものにしたいと考えました」(吉澤氏)。極東商会は、それまで取引関係にあったベンダーに相談しましたが、対応が難しいとのことでした。そこで、他のいくつかのベンダーに相談し、最終的にベル・データの協力を得ることにしました。ベル・データを選定した理由を吉澤氏は次のように話します。「ベル・データは、IBM i(AS400)で稼働する基幹業務システム内のデータをWebアプリケーションに展開してきた実績があります。提案内容も、他ベンダーのものと比較して納得できるものでした」。そして、極東商会は、IBM i(AS400)上の既存システムを活かしながらWebブラウザによるアクセスを実現するaXesをベースに、カパスの各店舗での入力・照会システムを開発し展開していくプロジェクト「Laxus」(以下、ラクサス)をスタートしました。
さらに、極東商会は、店舗を利用する顧客との関係をより親密なものにするため、アプリプラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」も導入することにしました。「店舗の運営はスタッフに依存している部分がかなりあります。お客様とスタッフのつながりがカパスの強みになっています。ただし、スタッフ自身は転勤して他の店舗に移ることがあります。もちろん、転勤の際に引き継ぎは行うのですが、それでも失われてしまう情報があります。このような部分を補いながらお客様との関係作りができないかと考えたときに、アプリを開発して、お客様のスマートフォンで利用していただくのがよいと判断しました」(菅生氏)。
極東商会は、Yappliを使ってKAPAS(カパス)公式アプリ(以下、カパスアプリ)を開発し、その機能の1つとして顧客ごとに利用明細を確認できるようにしたいと考えました。「カパスアプリをインストールしていただくには、どのような機能が必要かと考えたときに、クレジットカードの利用明細のような機能があれば、掛け売りで取引しているお客様に役立つと思いました。お客様にユーザーIDとパスワードを管理いただき、当社の販売管理システム上にあるお客様の利用明細を確認いただけるようにしようと考えました」(菅生氏)。ただし、Yappliの標準機能では、IBM i(AS400)上で稼働する販売管理システムのデータを利用できませんでした。「ベル・データに相談したところ、適切な内容の提案があり、カパスアプリのサブシステムの構築も依頼することにしました」(吉澤氏)。具体的には、IBM i(AS400)の基幹業務システムには手を加えずにクラウドサービスなどと連携できるB-Core API-HUBのハイブリッドクラウド開発運用基盤によって、カパスアプリ上で販売管理システムのデータを照会できるようにしました。
導入のためのアプローチ
タブレット端末によって店舗での入力作業や照会作業を支援するラクサスの開発は、プロジェクトメンバーが現地を訪れて店舗スタッフからのフィードバックを得ながら進められました。管理本部 管理部 情報システムグループの桒原真人氏は次のように話します。「単に資料を読んでくださいといったレベルではスタッフの方々に伝わらない部分もありますので、早めの導入を希望する店舗を募り、実際に現地でタブレット端末を使ってラクサスの操作方法や利用シーンを説明しました。その中では、当初想定していた機能では対応できない部分があったり、日常の接客シーンでの課題なども見つかりました」。極東商会は、ラクサスが店舗への一方的な押し付けシステムでなく、現場で使いやすいものになるよう常に注意しながら開発を進めました。
ラクサスと同様にカパスアプリに対しても、極東商会は細心の注意を払っています。「ラクサスの対象ユーザーは店舗スタッフですが、カパスアプリの対象は社外のお客様です。カパスアプリのコンセプトはお客様の仕事で役立つことなので、現場でどのような情報が必要なのかや仕事で利用されるシーンを考え、当社からどのような情報を提供できるかを意識しながら、コンテンツを積み上げています」(菅生氏)。
このようなラクサスやカパスアプリの開発にあたって、極東商会はベル・データの対応を高く評価しています。「開発にあたって、当社から提示した仕様に対して、内容をチェックすることに加えて、新たなアイデアを提案していただいています。例えば、この仕様はここが問題ですというだけでなく、このようにしたほうがよいと思います、といった提案をいただき、当社も納得することが何度もありました」(吉澤氏)。
株式会社極東商会
株式会社極東商会は、商社とメーカーの2つの立ち位置で、製品ほかさまざまな価値を提供し、ビジネスと環境の双方の課題解決に貢献しています。