基幹システムを活かして
データ連携
基幹システム×LINEチャットボット
発注システム DX事例
- DX
- LINE チャットボット
- B-Core API HUB
- IBM i (AS400)
事例のポイント
- 既存の基幹システム(IBM i)での受注の仕組みとLINEを連携した
新たなチャットボット発注システムを導入 - ユーザー目線でデザインされたデジタル・プラットフォームを短期間で構築し、
抜本的なビジネスモデルの 変革を実現 - 全国に広がる小規模事業者との取引拡大を実現
お客様の課題
ポリ袋・ゴミ袋の開発・製造・販売を手がける日本サニパック株式会社(以下、日本サニパック)は、大きく家庭用と業務用に分けて事業を展開しています。このうち業務用製品は、全国各地の取引先を経由して、飲食店、工場、遊興施設などに販売され使われています。そして、業務用製品の売上の30パーセント強は、従業員数20名以下の小規模事業者が担っています。日本サニパック 第一営業本部 東日本業務用営業部で部長を務める加藤義信氏は次のように話します。「仮に小規模事業者が廃業した場合、その取引先が持っていた商圏が引き継がれないことが多いです。また、取引先が倒産した場合は、売掛金の回収に関する問題が生じます。このような点にどう対処していくかが以前から社内で議論されていました」。そのような状況にあったとき、新型コロナウイルス感染症の拡大および蔓延によって全国でステイホームが呼びかけられました。「取引先の経営状況を知るために先方を直接訪問していたのですが、全国でステイホームになり取引先を訪問できず経営状況が把握できなくなってしまいました」(加藤氏)。
小規模事業者との取引は、裾野が広くポテンシャルが高いため、収益安定化を目指すにはこの領域の強化が課題でした。ただし、小規模事業者は、1回の取引が少額なことに加えて企業数が多いため、すべての小規模事業者を営業担当者が対面でフォローするのは人的リソースの点で難しいです。また、FAXなどで注文を受け付けていましたが、注文内容を確認・入力するといった、日本サニパック社内での業務負荷の問題もありました。 さらに大きな問題は与信リスクでした。小規模事業者は、経営者が高齢化し後継者がいないケースが多く、廃業・倒産などのリスクがあることに加えて、決算内容が開示されていないため経営状況を判断しきれず、与信リスクから取引を断るしかないケースが出ていました。
一方で、世の中にECサイトが普及し、小規模事業者が一般的なECサイトで業務用製品を購入するケースが増加し、ビジネスチャンスの損失になりかねない事態が生じてきました。また、ステイホームによって、飲食店や遊興施設での業務用ゴミ袋の需要がかなり減ってしまいました。このような状況のなか、2020年、人手不足に悩む地域の営業担当者からの相談を皮切りに、新たに目指すべき姿を再定義すべく、日本サニパックはDXの第一歩を踏み出しました。
日本サニパック SCMグループ デジタルトランスフォーメーション推進部で部長を務める宇野康典氏は次のように話します。「当社はゴミ袋などの単品カテゴリーのメーカーです。ホームページやECサイトを立ち上げても、そこで取引先の方が購入していただくのは難しいと思い、取引先とピアツーピアで直接つながりができる方法がよいと考えました」。日本サニパックは、取引先と直接つながるためにLINEでの対話アプリを選択しました。「調べてみると、LINEの月間ユーザー数は9,000万人を超えていました。つまり、日本の人口の7割近くの方がLINEを使われています。LINE上で告知すれば取引先にも簡単に認知していただけますし、取引先自身も面倒でなくとっつきやすいと考えました」(宇野氏)。
課題解決のための選択
日本サニパックは、LINEでの対話の返信にチャットボットを使おうとも考えました。「対話アプリの返信を当社のスタッフ自身が担当すると負荷が高くなってしまいます。そこで、チャットボットなどで自動的に返信しようと考えました」(宇野氏)。また、既存の受注出荷の仕組みはそのまま使用しようと考えました。「新たな機能を作るには時間やコストがかかります。また、せっかく作ったのにそこでの収益や結果が出ず、取り組んだだけになってしまうおそれもあります。そこで、LINEでの対話によって作られた注文内容を既存の基幹システムに入力しようと考えました。既存の部分をできるかぎり残し、そことデータを連携すれば、既存の部分は何も変わりません。社内の理解も得やすくなります」(宇野氏)。実際に、取引先からの注文内容を受注データとして基幹システムに直接収めることで、受注後の処理は従来のままになります。「受注以降の業務の流れは特に変わらないため、コストと業務の両面でメリットがあります。既存の基幹システムとのデータ連携は必須條件でした」(宇野氏)。
ただし、日本サニパックが検討していた仕組みを実装した例は見当たりませんでした。日本サニパック SCMグループ デジタルトランスフォーメーション推進部 情報システム課の水澤氏は次のように話します。「LINEやチャットボットを使うことは、まだ珍しいとは思いましたが、どこも実装していないことは意外でした」。そこで、自ら実装案を検討し、取引関係にあったベンダーに相談しました。「実装案を提示して費用を見積もってもらったのですが、想定していた金額より高いものでした。社内への報告時期も近づいていたので、どうしたものかと悩んでしまいました」(宇野氏)。そのようなとき、別件で打ち合わせていたベル・データに相談したところ、翌週には日本サニパックが考えていた仕組みのデモンストレーションが提示されました。「私たちがやりたいと思っていたチャットボットでの動きやIBM i(AS400)への自動的な登録を目にできたので、急いで費用を見積もってもらいました」(宇野氏)。提示された金額に納得した日本サニパックは、ベル・データとともに開発を進めることにしました。
導入のためのアプローチ
日本サニパックは、チャットボットに株式会社コンシェルジュのKUZENを、取引先与信や請求書発行と送付、および入金処理にヤマトクレジットファイナンス株式会社のクロネコ掛け払いをそれぞれ利用することにしました。また、既存の基幹システムを含めたそれぞれとのデータ連携には、ベル・データが提供するサービスソリューションB-Core API-HUBをIBM Cloud上に実装することにしました。データ連携に関して、日本サニパック SCMグループ デジタルトランスフォーメーション推進部 情報システム課で課長を務める小手川勝己氏は次のように話します。「既存の受注出荷システムとデータを連携するので、得意先および出荷先によって商品の単価設定が異なっている点など、開発を担当されるベル・データ殿には正しい内容を伝えるように注意しました」。
また、日本サニパックは、LINEでの対話アプリの表示方法についても検討を重ねました。「最初 は、文字のみでメニューを表示していました。その後、何人かの方に見てもらってアイコン表示に変更し、最終的にマーケ部門と相談して当社のコンセプトに合わせたものにしたところ、取引先からの反応もよいものになりました」(宇野氏)。
このようなシステムの開発から現在の運用に至るまでベル・データの変わらない対応の早さを、日本サニパックは高く評価しています。日本サニパック SCMグループ デジタルトランスフォーメーション推進部 情報システム課の五十嵐氏は次のように話します。「ベル・データ殿のレスポンスはいつも早く、しかも1つのことを問い合わせても、こちらが困っている内容を真摯に捉えて考えてくださるので、大変に助かっています」。このようなベル・データの対応もあり、日本サ ニパックは作業を予定どおりに進め、LINEでの対話アプリを使った「サニパック掛け払い」のシステムを完成させました。
日本サニパック株式会社
日本サニパック株式会社は、自社工場をインドネシアに持ち、
日本品質の徹底した管理の下、一貫した生産体制で高品質な製品を製造、
販売している業界では数少ない生産体制を築いています。