AWS上での
サービス提供に挑戦
工業に特化したマッチングサービスを提供
- DX
- クラウド監視サービス
- 脆弱性診断サービス
- 製造業
事例のポイント
- サービスを提供するためのインフラ環境をクラウドで段階的に構築
- 脆弱性診断を実施し、Webアプリケーションをブラッシュアップ
- トラブルなく順調に運用を継続
お客様の課題
半田重工業株式会社(以下、半田重工業)が運営する工業系特化型総合マッチングプラットフォーム「Factor X」。そのネーミングには、他企業とともに未来の工場を創造していきたいという想いが込められています。工場の英語表記Factoryの最後の文字「Y」を1つ前の「X」に変えることで、未知なる課題を解決して一歩先の工場に進化しようという想いです。現在、Factor Xでは、企業間の技術マッチングと、企業の求人をサポートする人材マッチングのサービスが提供されています。
日本国内で製造業を営んでいる企業は約46万社あります。半田重工業は、業界、業種、地域といったさまざまな障壁によって、これらの企業による新商品の開発や新技術の発展が阻害されていると考えています。これは、油圧シリンダーの構成部品において特殊加工を行える企業がなかなか見つからなかったなど、同社の過去の経験に因しています。このような製造に関するさまざまな課題に直面してきた半田重工業は、それぞれの場面で協力を得た他企業の必要性を痛感していました。半田重工業 管理本部 プロジェクトX室でGMを務める武井成樹氏は次のように話します。「当社だけでなく他の企業も同様の課題を持ち、協力してくれる企業を必要としているだろうと考え、経済産業省の事業再構築補助金による支援を受けてオンラインでのマッチングサービスを立ち上げることにしました」。
また、半田重工業は、さまざまな媒体を使い製造業で働いてくれる人材を確保しようとしてきました。しかし、採用にかかる費用が年々上昇していくにもかかわらず、必要な人材を確保しづらい状況が続いていました。「人材を採用するための費用がかかり過ぎてしまうと、設備の新設や修繕ができないなどという悪循環になってしまいます。採用にかかる費用を少しでも抑えて他に投資できるようにと、人材マッチングのサービスも提供しようと考えました」(武井氏)。このように企業間の技術マッチング、および企業の求人をサポートする人材マッチングのサービスが必要とされていると考えた半田重工業は、クラウド上でのサービス提供を目指しました。
課題解決のための選択
半田重工業は、海外のベンダーの協力を得て、サービス提供のためのWebアプリケーションを開発することにしました。一方で、Webアプリケーションを支えるインフラ環境の構築に関しては、国内ベンダーの協力を得ようと考えました。半田重工業 管理本部 プロジェクトX室 WLの山本樹氏は次のように話します。「システムの運用に関わるインフラ環境は国内ベンダーに依頼したいと思っていました。理由は、インフラ環境で不具合が生じたり障害が発生したりしたときに、国内ベンダーであれば即座に対応してもらえると考えたからです」。半田重工業は、これまでさまざまな相談に対して適切な提案で応じてくれていたベル・データにインフラ環境の構築を依頼することにしました。「ベル・データには、さまざまな相談をしてきて、その都度提案をもらっていました。そうしたやりとりの中で、こちらの相談をとても真剣に受け止めてくれたこと、提案してもらった内容も納得がいくものであると感じたことで、ベル・データの協力を得ることにしました」(山本氏)。
導入のためのアプローチ
半田重工業は、インフラ環境の構築をいくつかのフェーズに分けて実施しました。Factor Xは、Web会議、チャット、スケジュール管理、決済など、技術マッチングおよび人材マッチングの過程で生じる商談や選考といった業務をすべてシステム内で行います。このため、インフラ環境は、Webアプリケーションの開発に必要な最低限のものから、オートスケーリング、セキュリティ対策と順序立てて拡張されました。「ベル・データからの提案を受けて、フェーズを分けて構築しました。Factor Xのインフラ環境の構成は複雑で、一度にそれらを構築するとかなり工数がかかります。Webアプリケーションの開発でサーバを必要としていましたので、まずは使える環境を作ることから始めました。そこから段階的に本番に向けた複雑な環境を作っていくことにしました」(山本氏)。
半田重工業は、Webアプリケーションの脆弱性診断もベル・データに依頼しました。「プロジェクトの開始当初からWebアプリケーションの脆弱性による侵入や攻撃は懸念していました。この点に関して、何らかの手を打たなければならないと思っていたのですが、新たにベンダーを探し出すのも大変でした。そのような状況の中でベル・データとインフラ環境を構築していき、これまで以上にベル・データへの信頼感が高まっていきました。また、今回プロジェクトに参画されたエンジニアの方がかなりの知見を持った方だったので、どのようにしたらよいかを相談し、ベル・データの支援を受けることにしました」(山本氏)。
ベル・データによるWebアプリケーションの脆弱性診断は、半田重工業にとって理解しやすいものでした。「我々自身が脆弱性に関する診断結果を直接受け取った場合、かなり理解しづらかったのではないかと思っています。ベル・データのエンジニアの方が理解しやすく説明してくれました。データや現象の説明であったり、報告書の内容であったりといった点で支援してもらったと感じています。海外のベンダーも含めた説明会を開き、回数を重ねたことで、Webアプリケーションをリリースできるレベルにまで引き上げられたと思っています」(山本氏)。
さらに、半田重工業は、Factor Xを工業にフォーカスしたサービスとするため、登録カテゴリーを細分化しました。「実際に登録した企業がどのような技術を持っているのか、また相手企業はどのような技術を得意としているのかが、システム上でわかりやすいように工夫しました。このカテゴリーの多さがFactor Xの強みだと思っています」(武井氏)。
半田重工業株式会社
自動車用部品切削加工、各種産業用油圧シリンダー設計・製作、
画像検査装置、IoT製品の設計・開発、情報通信業
1937(昭和12)年に創業した半田重工業株式会社は、フォークリフト部品および油圧シリンダーの製造専門メーカーとして長年培ってきたモノ作りの経験やノウハウを活かし、同社が悩み苦しんだ問題をIoTやICTで解決するシステムや機器を安価に提供する事業にも取り組んでいます。