奉行シリーズのクラウド化で
運用コストを3割削減
今後の法改正にも柔軟に対応できる
機能群を獲得
- バックオフィス業務のDX
- 奉行シリーズ
- 食品・水産グループ
事例のポイント
- 運用コストと運用負荷の低減を目指し、オンプレミス環境の会計・給与システムをクラウド環境に移行することを決定
- 運用コストを約3割削減し、会計年度をまたぐ月次データの参照や改正電子帳簿保存法にも
対応可能な各種機能を獲得 - クラウド化に伴い給与明細の電子化も実現し、業務フローを劇的に効率化
お客様の課題
1924年の創業で、2年後に100周年を迎える株式会社トクスイコーポレーション(以下、トクスイコーポレーション)。現在水産事業と食品事業を大きな2つの柱として事業展開しており、自社以外にも建材製造・卸や電気設備、金融、システム開発などを行うグループ企業を有しています。これまで同社は、株式会社オービックビジネスコンサルタント(以下、OBC)の提供する会計ソフト「勘定奉行」と給与計算ソフト「給与奉行」をオンプレミスのサーバー環境で運用してきましたが、運用フェーズで様々な 課題を抱えていました。
以前の状況について、主に会計業務を統轄するトクスイコーポレーション 統括管理本部 統括管理部部長の三谷正一氏は、次のように説明します。「まずハードウェア面では保守切れを迎える5~6年の周期で物理サーバーをリプレイスしていましたが、その際には新たなサーバーを調達するためのコストが発生し、一からセッティングするため工数もかかっていました。一方ソフトウェア面でも、何かしらの法改正があった時には、法対応のために機能強化のバージョンアップを行う必要があり、その度にコストと手間がかかっていたのです。さらに会計業務では、経理データを毎日外付けハードディスクにバックアップし、メインのマシンルームとは別の場所にあるバックアップサイトにデータ伝送するという対応を取っていたのですが、この業務にも多大な手間とコストが必要でした。そこで次のリプレイスのタイミングで、これらの課題を何とか解決できないかと考えていたのです」。
課題解決のための選択
クラウド環境への移行を検討
そこで同社は、トクスイコーポレーショングループのシステム開発から導入・運用までを委託しているグループ企業のクローバーシステムズに相談し、従来のオンプレミス版も選択肢として残しつつ、クラウド版の「勘定奉行クラウド」と「給与奉行クラウド」への移行を検討することにしました。
「システムの観点からは、一般的に語られているクラウド利用のメリットは十分に理解していましたが、デ-タや設定などがうまく移行されず、正しい数値が算出されないことにならないかなどの不安もあり、今までと同じやり方でいいのではないか、という意見もあり、従業員の意向としてはオンプレミス環境のままでいいという意見の方が多かったのです。そこで、これまで利用していたオンプレ版の奉行i8を奉行i11にバージョンアップする方法と、奉行i8からクラウド版に移行する方法の2つを比較検討することにしました」(三谷氏)。
トクスイコーポレーションから相談を受けたクローバーシステムズ 代表取締役の山内竜太郎氏は、奉行i8の導入時にも協力を仰いだベル・データに改めて声をかけ、奉行クラウドと奉行i11各々の特徴と機能を比較検討するための資料やアドバイスの提供を依頼することにしました。
「ベル・データには長年にわたって、トクスイコーポレーショングループ全体のシステムに関わっていただいています。そのためシステム面だけでなく、グループ各社の業務そのものも深く理解していただいているという大きな安心感がありました。今回の取り組みは、グループとして基幹システムをクラウドに移行する初めてのプロジェクトでしたが、その際に協力を仰ぐITパートナー企業としてベル・データ以外は頭に思い浮かびませんでした」(山内氏)。
導入のためのアプローチ
クローバーシステムズを介してトクスイコーポレーションの要望を把握したベル・データでは、OBCとの強力なパートナーシップをベースに奉行i8と奉行i11、さらには奉行クラウドと奉行i11との比較資料を作成し、クローバーシステムズに提示しました。
「やはり一番大きかったのは、クラウドに移行した場合のコストメリットです。今回は10年、つまりオンプレミス環境ならハードウェアのリプレイスが2回発生する期間でコストを比較したのですが、クラウドに移行した場合、最初の環境構築や移行、従業員教育の費用を除いて、約3割も利用コストを削減できることが分かりました。またベル・データに作成していただいた資料や説明を基に、現場の人たちにも奉行クラウドの機能や使い方をレクチャーし、クラウド版だからといって不安のある仕組みでは決してないこと、日々の利用シーンでは会計年度をまたいだ月次データの参照が可能になるなど、むしろ使い勝手がよくなる機能があることなどを理解してもらいました。さらにこれまでローカル環境とリモートサイトに二重で実施していたデータバックアップ業務も、元のシステムをクラウド化すれば一切不要になります。運用の手間や万一の障害発生時にサブマシンにデータリストアする手間も、リストア時に1日前の古いデータを使用する必要も皆無になるということです。クラウド環境への移行によって、こうした数多くのメリットを享受できることが明らかになりました」(三谷氏)。
また三谷氏は、クラウド移行時に多くのユーザ企業が懸念するセキュリティ面についても、ベル・データがOBCに綿密なヒアリングを行い、説明してくれたことがクラウド移行の大きな後押しになったと強調します。「ベル・データは、奉行クラウドではどんなデータ保全の仕方がされているのか、どんなセキュリティの担保の仕組みが採用されているのかを繰り返し説明してくれました。実際のシステム構築や移行作業だけでなく、我々の不安を取り除いてくれるようなベル・データの対応にも、本当に感謝しています」。
株式会社トクスイコーポレーション
株式会社トクスイコーポレーションは、大正13年(1924年)、長崎県五島において東シナ海での遠洋漁業を生業に創業しました。その後、福岡市に拠点を移し、西日本有数の漁獲を揚げながら、博多漁港や長浜市場の設立など水産振興に貢献しました。現在は海老中心の貿易/水産加工事業、生協向けの冷凍食品事業、その他15のグループ会社の企画運営を柱に事業展開しています。