実務部門主導でのアプリケーション開発
手を加えずにデータの
処理方法を刷新
- kintone
事例のポイント
- 既存の保存場所や保存方法をそのままに人事データを1つにまとめる
- 初期投資費用だけでなく、アプリケーション導入への抵抗感も低く抑える
- 1つの画面で確認したり判断したりできる安心感を得る
お客様の課題
従業員に関するさまざまな情報は、「人事データ」と呼ばれて管理されています。人事データには、性別、生年月日、連絡先などの従業員本人に関する基本情報だけでなく、職務経歴、取得済みの資格、スキル、人事評価などの情報も含まれます。また、人事データは、労務管理のために必要なことに加えて、人材配置や人事評価を適切に実施したり、新たに従業員を採用したり、事業計画を策定したりする際にも必要な情報になります。
元旦ビューティ工業株式会社(以下、元旦ビューティ工業)でも、従業員に関するさまざまな情報が人事データとして管理されています。ただし、長年にわたる人事データの運用や蓄積によって、いくつかの場所にデータが散在してしまい、必要な情報を収集するのに時間がかかっている状況でした。管理本部 総務部で担当課長を務める成岡修氏は次のように話します。「従業員に関する入社時の基本情報などは社外の事業者に委託してクラウドシステムで管理しています。また、社内で独自に管理している情報もあります。つまり、人事に関する情報がいくつかの場所に散らばっている状態でした」。このような状態であったため、経営層などから人事データに関する情報の提示を求められた際には、散在しているデータをMicrosoft Excel形式の十数個のファイルとして集め、それらのファイルの内容を組み合わせながら新たなファイルにまとめ、提出できる形に整えるといった作業が必要でした。
さらに、守秘事項などを含む人事データを扱える人員が総務部内で1名しかいないため、他の業務と重複してしまったときなどには作業を完了するまでに多くの時間がかかってしまうこともありました。管理本部 情報システム部で部長を務める光永大祐氏は、次のように話します。「在籍している従業員のリストや入退社者に関する情報が必要になったときなどに総務部に出向くと、担当者が夜遅くまでキーボードに向かって作業しているのを目にしました。このようなとき『何とか改善しなければならない』と感じました」。経営層からも人事データを見やすく、すぐに提出できる形にしてほしいとの要望があり、元旦ビューティ工業は人事データの処理方法を見直すことにしました。
課題解決のための選択
元旦ビューティ工業は、サイボウズ株式会社が提供するkintone(キントーン)を使って人事データを扱うアプリケーションを実装しようと考えました。「人事データ管理のための専用アプリケーションなどを導入した場合、初期投資が大きくなります。これに対してkintoneは、すでに社内で利用していますし、簡単な形式の台帳なども作成して運用しています。このため、kintoneによるアプリケーション開発への実務部門の抵抗感も低く、すぐに取り組みを始められると考えていました」(光永氏)。また、元旦ビューティ工業は、kintoneで提供される入力規制などの機能によって、Microsoft Excelでは難しかった、人事データの扱いを適切に制限できるようになるとも考えました。
このように考えているとき、元旦ビューティ工業は、すでに取引実績があったベル・データがkintoneに関するサービスを提供していることを知りました。「それまでの取引で、ベル・データの実績や仕事に取り組む姿勢などは信頼できると感じていました。また、今回のアプリケーション開発に関するコストも比較的安価でしたので、ベル・データの協力を得ることにしました」(光永氏)。
kintoneを使って人事データの処理方法を見直すことについて、実務を担う総務部の成岡氏は次のように話します。「kintone自体はすでに使用していたため、その扱いやすさなどから人事データを扱うアプリケーションも作れると思いました。ただし、人事データとして扱う項目はとても多く、それらが連携しているので、アプリケーション開発に必要な工数を考慮すると、社内だけで実装するのは難しく、ベル・データの協力を得ることが適切だと思いました」。
導入のためのアプローチ
元旦ビューティ工業は、人事データの既存の保存場所や保存方法にはできる限り手を加えずに処理できるようにしたいと考えました。「さまざまなデータが大量に存在しているため、こちらでそれらを独自に加工してしまうと、その後の処理の手間が増えてしまうおそれがあります。そのため、現状の形式でデータをそのまま受け取り、受け取ったデータを活用する形にしたいと考えました」( 成岡氏)。実際には、クラウドシステムや社内に存在している人事データをMicrosoft Excelのデータ形式で受け取り、それをkintone上で活用するようにしました。また、アプリケーションの開発にあたっては、現在人事データを処理している者の要望だけでなく、近い将来に他の者が問題なく扱えるよう、アプリケーションのコメント1つに関しても理解しやすいものになるよう配慮しました。
元旦ビューティ工業は、アプリケーション開発にあたったベル・データの取り組み姿勢を次のように評価しています。「こちらの思いを正しく理解して、きちんと作ってくれているという印象がありました。レイアウトに関するものであったり、データの連携に関するものであったり、こちらからの細かな数々の要望に対して、『このような形で対応しました』『このようにする必要があると考え、対応してみました』など、さまざまな形で的確に応えてくれました」(成岡氏)。光永氏もベル・データの取り組み姿勢を次のように評価しています。「ベル・データには、kintoneの標準機能で対応できなかった部分にも対応していただきました。今回は、実務部門である総務部と、情報システム部の両部門が描いた内容がきちんと実現できる形になったと思っています」。
元旦ビューティ工業株式会社
元旦ビューティ工業株式会社は、金属屋根メーカーとしてアイデアにあふれた高品質な製品を生み出すとともに、施工する技術者を守り、協力しあうことで、お客様に信頼され、喜ばれる製品を提供しています。