マイグレーションで
安心をお届け
保守サポート終了とシステム移行の不安を
堅牢で信頼性のある環境で解決
- 食品製造業
- IBM I (AS/400)
- マイグレーション
事例のポイント
- 止められない基幹システムの移行先として、堅牢性および信頼性が
高いIBM Power Systemsを選定 - 移行対象プログラムの適正化と徹底した動作検証の実施
- 現場の混乱なくシステムを移行したことに加えて、処理能力が大幅に向上
(バッチ業務では処理時間が60~90パーセント短縮)
お客様の課題
千葉県、茨城県、東京都、埼玉県、神奈川県などを中心に牛乳、加工乳、乳飲料を販売する古谷乳業株式会社(以下、古谷乳業)の成田工場には、毎日数多くの配送トラックが出入りします。大手スーパー、販売店、学校、病院や高齢者施設などに古谷乳業の製品を時間どおりに確実に配送するためです。毎日届く注文に合わせて製品が配送トラックに積み込まれ、配送センターに向けて出て行きます。何か問題が生じて時間どおりに製品が出荷できないと、その後の配送に遅れが生じ、最終的に購買者であるお客様に迷惑がかかってしまいます。このような遅延は、古谷乳業への信頼を大きく損ないます。
古谷乳業 情報システム室 副参事の石津洋子氏は次のように話します。「システムから出荷伝票を出せないと、配送トラックが製品を持って出られず、大手スーパーやお客様に迷惑がかかってしまいます。このため、システムの安定稼働は譲れない点になっています」。注文、出荷、売上、請求といった古谷乳業の販売管理業務は、長年にわたって国産コンピューターメーカーの汎用機による基幹システムが担ってきました。しかし、使用してきた汎用機の保守サポートが2019年9月に終了することに加えて、それまで使用してきた汎用機の製造終了により基幹システムの環境を切り替えなければならない状況になってしまいました。そこで古谷乳業は、長年の取引実績がある国産コンピューターメーカーを含めた数社に相談し、次期基幹システムの検討を開始しました。
課題解決のための選択
相談した数社からの提案は、パッケージ製品のカスタマイズ、Windows系サーバーの利用、オフコンを継承したサーバーの利用などさまざまでした。このうちパッケージ製品をカスタマイズして利用するのは、コスト面だけでなく、乳製品を製造販売する古谷乳業の業務に合わせること自体が難しいと思われました。最終的に古谷乳業は、Windows系サーバーかオフコンを継承したサーバーのどちらかを利用しようと考えました。Windows系サーバーの利用を提案したのは、長年にわたって古谷乳業の基幹システムをサポートしてきた国産コンピューターメーカーでした。一方、オフコンを継承したサーバーは、これまで取引実績がないベル・データからのIBM Power Systems IBM I(AS400)の提案でした。
石津氏は次のように話します。「ハードウェアメーカーを変えると言うことは、ものすごく大変なことだと思っています。以前に、サブシステムのメーカーを変えたことがあったのですが、とても大変でした」。また、古谷乳業 情報システム室 係長の菊地雄一氏は、Windows系サーバーへの懸念を次のように話します。「Windows系のシステムを担当しているのですが、今回の次期基幹システムを検討する少し前にいくつかのシステムの入れ替えを実施していました。その際、ソフトウェアとOSのバージョンによる違いでかなり苦労しました。次期基幹システムで同様の状況が発生することは避けたいと思っていました」。
古谷乳業は、さまざまな面から検討を重ね、最終的にベル・データが提案するIBM i(AS400)を利用することにしました。「IBM製品の堅牢性と信頼性が一番の選定理由です。Windows系サーバーでは、常にバージョンに注意しながらアップデートしなければなりませんし、ウイルスなどによる脅威も懸念されます。基幹システムを守っていくために、IBMのハードウェアとOSへの信頼感が強かったです」(石津氏)。
また、何度か繰り返した打ち合わせで、親身になって対応するベル・データへの信頼感も高まりました。「ハードウェアについては展示会などで説明を受けるなどして私たちなりに勉強しました。しかし、ソフトウェアは人が作るものなので、実際にその人たちがどのような知識を持っているかによって大きく変わってきます。ベル・データとの打ち合わせでは、私たちがまったく使ったことがないシステムに関する質問で、内容自体が適切かも分かっていないような状況でも、その場で即答してもらったり、後日に反映内容を提案してもらったりして、他社とは違うと感じました」(菊地氏)。石津氏もベル・データに対する信頼感を次のように話します。「各社にすべての仕様を説明し提案内容を伺ってみて、私は『人』だと感じました。古谷乳業のことを考えて『このようにしたほうがよい』などの提案をいただきましたが、ベル・データは最後に『うそはつきません。責任を持って最後までやります。絶対に信じてください』と話されました。基幹システムを任せるのに、本当に大事なことは『人』だと思いました」。このような経緯から、古谷乳業は、基幹システムをIBM製品に移行し、ベル・データの支援を受けることを決心しました。
導入のためのアプローチ
古谷乳業は、既存のシステム内に存在する数多くのプログラムから移行対象とするものを選別しました。古谷乳業 情報システム室の橋本理氏は次のように話します。「従来のシステムには、プログラムの処理を記述したプロシージャが2,000本くらいありました。そのうち1,000本強を移行対象としました。従来のシステムに、プロシージャの使用頻度が簡単に分かるようなツールがなかったため、独自にプログラムを作成して情報を収集し、それを判断材料の1つにしました」。また、古谷乳業は、プロシージャから呼び出されるCOBOLプログラムや画面定義なども移行対象とするかどうかをすべて確認し、必要なものを絞り込みました。最終的に、COBOLプログラム1,500本強、画面定義75点などを対象とし、それらをベル・データに提供してIBM i(AS400)への移行作業を依頼しました。
ベル・データは、古谷乳業から提供されたプログラムのソースコードなどをカスタマイズツールで1本ずつIBM i(AS400)に移行していきました。そして、古谷乳業は、従来のシステムと新システムでのデータおよびリストの出力内容を徹底的に比較して、わずかな違いもないように注意しました。「基幹システムは止めることができないシステムです。従来のシステムからプログラムを移行して必要なプログラムを作ってもらい、その出力結果をチェックし、不都合があればベル・データに修正してもらう。このやりとりを繰り返しました」(石津氏)。
古谷乳業株式会社
果汁飲料・清涼飲料・プリン・ゼリーの処理製造販売
昭和26年9月に設立された古谷乳業株式会社は、牛乳、加工乳、乳飲料などを製造販売しています。創業以来70年以上にわたって安全でおいしい牛乳にこだわり続けてきた同社は、これまでに培ってきたノウハウと未来を見据えた研究開発にたゆまぬ努力を続け、お客様一人ひとりに健康な毎日を届ける「食の基幹産業」として、これからも発展を続けていこうと考えています。